チリ「ポケモンズ(Pokemons)」について

【8月23日 AFP】スパイキーヘアーに中性的なファッションという格好で、アルコールなしのパーティーを好む、「ポケモンズ(Pokemons)」と呼ばれるチリの若者たちが、保守的なチリ社会に衝撃を与えている。

 しかし、過去にもあった若者による運動とは異なり、12-18歳までの社会に不満を抱いているこの少年少女たちは、政治や世界の変化にはまったく興味がない。さらに、日本のアニメ「ポケット・モンスター(Pocket Monster)」とも関係ない。

 そんな「ポケモンズ」の特徴は、ジェルやアイロンでストレートに伸ばし、一部を緑、紫、ピンク色に染めた髪。プラスチックのブレスレットやネックレスに大きめのイヤリング、さらに腹部、鼻、舌などにはめたピアスだ。

 16歳の少女は、「この格好がサイコーなの。たくさんの物を組み合わせる自由があるでしょ」と、語る。

 主な活動は、午後の早い時間に始まり、日が暮れるまで続くダンスパーティー。アルコールはないし、たばこやドラッグの使用者もほとんどいない。しかし、数百人の男女が集まるそのパーティーで彼らは、できるだけ多くの人とキスを楽しむのだ。さらに、セックスについてもオープンに語り、同性愛の関係にも気後れすることはない。

 17歳の少年は、「ディスコでは、キスばっかりさ。僕の友だちは女の子とキスをするためだけに、パーティーに行くんだ」と語る。

 しかしこのチリという国は、中絶が法律で禁止され、離婚も2004年に認められたばかりの保守的な社会なのだ。

「わたしたちポケモンズは、他人の自由を尊重するの」と語るのは、ディスコで友人たちとレゲエ音楽に合わせて踊る少女。人が誰といようと気にしない、重要なのは愛情だという。

「ポケモン現象」が、いつどのように現れてきたのかは不明。しかし社会学者は、スパイキーヘアー、細身のジーンズ、ボディピアスが特徴的な彼らを「アーバン・トライブ(urban tribe、都市部の種族)」と呼ぶようになった。

「ポケモン」たちはキスのほかにも、ダンスフロアで服を着たまま、セックスのまねをする。最近、ニューズウィーク(Newsweek)誌は、彼らが公の場で、できるだけ多くの人とオーラルセックスをすると報じたが、これについては「ポケモン」たちが徹底的に否定している。

 サンティアゴ(Santiago)にあるカトリック大学の社会学者、Sebastian Daza氏は、性的なメディアの過度な露出や、自由放任的な子育てが重なって、「ポケモンズ」が生まれたと説明する。そして次のようにも語った。「すべての世代が親の支配から逃れたいと思うが、『ポケモンズ』は政治家への幻滅を特に顕著に表している」。(c)AFP